大峰南奥駆―前鬼から行仙岳を歩く―
                   2005/5/29〜5/30

第1日目(5/29)

昨年の10月23日に弥山から熊野本宮まで歩き通そうと独りで出かけたのであるが、
10/24 大雨の悪天候で中断し、前鬼に下ったのである。
今年は継続して、前鬼から熊野本宮まで是非歩き通したいと考えていたのだが、
山歩きの事故が時々報道されたりしており、周りから独り歩きはやめるように、
と言われているので、歩くなら相棒を捜さねば、と思っていたら、
「歴史探訪ウオーク」の同じ仲間の宮地さんと、鈴木さんが一緒に歩こうという話がまとまり、
内炭講師に一緒に歩いていただくことで、計画をお願いした。
熊野本宮まで、無理のないように、2回に分けて計画ができあがった。

今回は、下記の大峰奥駆けルートの前鬼から行仙岳の行程(黄線)である。

内炭さんが「大峰南奥駆パート@」と銘打って計画して頂いた内容を紹介しましょう。

第1日目は、前鬼の登山口(林道ゲート)から歩き始め、持経の宿までの約8時間の行程である。
第2日目は、持経の宿から行仙岳を越えて、白谷トンネルの登山口までである。

ルートを図示しましょう。

起伏図をお示ししましょう
登山口の林道ゲートから太古の辻までいっきょに登れば、後は100m前後の登り下りである。

橿原神宮前に7時に集合し、内炭講師の車で出発する。
天気は申し分ない好天である。
国道169号線を走り、前鬼口のバス停から前鬼川に沿って前鬼に向かって細い道を進むと、
「不動七重滝」と呼ばれる滝が見えてくる。
車を降りてちょっと見物する。
 
ここで記念写真を撮る。
内炭さんの奥さんがパチリ! シャッターを押してくれた。
ここで今日のメンバーをご紹介しよう。
左から鈴木さん、宮地さんご夫婦、私、案内をして頂く内炭さん、奥村さんである。
奥村さんとは今回初めてお会いする。
奥村さんは、車の中から吉野川で鮎釣りしている風景を眺めながら、
「自分は鮎釣りのセミプロだ」「ここの鮎は不味い」と
自信をもっていわれるほどの腕前と味覚の持ち主である。
 
9.22分 車止めゲート(登山口)に到着する。
登山届けのボックスがある。この右手から前鬼宿坊への歩道があるのだが、
今日はロープが張られ、立ち入り禁止になっている。

9.29分 出発前に記念写真を撮って、舗装道を歩きはじめる。

歩いてくる山伏姿の一行に出会う。
昨夜は前鬼宿坊で宿泊したのであろう。
奈良交通のバスが迎えに2台迎えに来ていた。

昨年10/24、前鬼宿坊に泊まり、翌日前鬼バス停に下ってきた時には
道は落石でひどい状況だったが、まだその時の傷跡が残っている。
 
歩きながら太古の辻の方を眺めれば、くっきりと三角に尖った釈迦岳が見えている。

9.59分 前鬼宿坊に到着した。
前回おなじみの宿坊である。役行者と前鬼が祀られているお堂にお詣りする。

しばし休息して、10.08分に出発する。

昨年(10/24)来た時には、この渓谷は大きな岩が隠れるほどに水がとうとうを流れており、岩伝えに向こう岸まで渡るのに、靴も水の中、ちょっと身の危険を感じたくらいの状況だったのに、今日は水一滴も流れていないのに驚く。
 
およそ30分ほど歩いた頃であろうか。
「内炭さ〜ん! 少し休ませてください!」
前を歩いていた宮地さんの声が聞こえる。
「あれ〜」どうしたんだろう。奥さんがちょっと具合が悪くなったのかと思ったら、奥さんではなく、宮地さん本人である。
よほど疲れたらしく、ドカッと腰をおろして休む。
先日もダイヤモンドトレールを35kmほど歩いたり、重い荷物を担いでトレーニングして自他ともに健脚を認めている宮地さんが、である。いくつか荷物を内炭さんから背負ってもらう。70リッターの内炭さんの大きなリックもいっぱいになり重そうである。
しばらく休憩して出発。
道は木製の階段がつけられて整備はされている。

11.20分 「二つ岩」に到着する。岩を眺めながら、しばしの休息をとる。
 
シロヤシオやシャクナゲがぼつぼつ見られる。
高いところに咲いているシャクナゲの花を見上げる鈴木さんをパチリ!

大日岳の岩肌にアケボノツツジであろう、赤い花が点々と咲いているのが見られる。

12.09分 「太古の辻」に着く。
「これより大峯南奥駆道」と書かれた道標が立てられている。
今日泊まる予定の「持経の宿」までは、 「8.1km 5時間」と表示されている。
「平治小屋へ 9.7キロ 6時間」
「玉置山へ 29キロ 16時間」
「本宮備崎へ 45キロ 24時間」の表示もある。

太古の辻には、シロヤシオの花が今満開である。
我々の先を歩いていたパーティが、シロヤシオの下に陣取って昼食をはじめている。
われわれもシロヤシオの花咲く側で昼飯としよう。

内炭さんが、湯を沸かし、熱いみそ汁をみんなに振る舞う。

12.34分 腹も満腹になったところで、
シロヤシオがあちこちに咲き乱れている中を、さぁ、出発!

12.35分 振り向いて大日岳を眺めれば、空にはいつの間にか暗く、雨雲で漂い始めている。
「わぁ〜、雨が降るのか。にわか雨に遭うのは間違いなさそうだな」と思いながら石楠花岳に向かう。

「石楠花岳」の名の如く、この一帯はシャクナゲの花、花、花が・・・たくさ〜ん!
花はもう満開を過ぎて、花の色はだいぶ色褪せてきているが、素晴らしい眺めである。

バラやボタンにも負けぬほど美しい色合いのシャクナゲである。

真ん中の峰が「石楠花岳かな」と思いながらパチリ! 12.49分である。
   
12.57分 振り向けば、釈迦岳の山頂は雲の中、大日岳がくっきりと見えている。
  
13.05分 石楠花岳(1472m)に着けば、先行したパーティが休んでいる。
このパーティはシャクナゲを見にここまで登り、また前鬼に引き返すのだ、という。
狭い山頂で内炭さんは一行の記念写真を撮るお手伝い。

内炭さんが、2年前に奈良山岳会の「会創立70周年記念大峰奥駆道全山リレー縦走」のプレートを括り付けて回ったのだが、そのプレートが落ちているのを見つける。針金をさがし、また括り付けて満足である。

二つ並んだ手前の峰が「天狗山だろう」と思いながらパチリ! 13.08分
 
13.32分 天狗山(1536.8m)に着き、休息。

天狗山を出発して地蔵岳をめざす。
左の峰が「地蔵岳だろう」と思う。 13.39分

「すごく、白いなぁ」とつぶやきながらパチリ! シロヤシオでも少しピンク色の混ざった花を見かける。
「シロヤシオでも種類があるのかなぁ」と思う。 13.43分

13.41分 バイケイソウ群生の道を行く。

13.54分 「奥守岳」に到着する。

手を振りかざして宮地の奥さんは元気いっぱい! 
旦那さんの顔は心なしか「疲れたなあ」と思わせる顔である・・・はっはっはぁ

奥守岳を出発して、次の涅槃岳へ急ぐ。 アケボノツツジの花が映えている。
 
14.15分 「嫁越峠」に着く。右に下れば、「十津川村花瀬」である。

14.28分 だだっ広いところにぽつんと、「天狗の稽古場」という標札が立てられている。

14.34分 「地蔵岳(1464m)」に到着。
内炭さんが湯を沸かし、熱いコーヒーをサービス。
みな「うま〜い!」と言って飲んでいる。
インスタントコーヒーであるが下界で飲む400円のコーヒーよりうま〜いのである。

「地蔵岳」を下って、次の「般若岳」に向かう。

15.03分 「般若岳(1328m)」に到着。

「般若岳」を下り、次の「涅槃岳」をめざす。「涅槃岳」を目指す途中に、「滝川辻」に着く。15.22分である。

アケボノツツジの花のトンネルをくぐって歩く。振り返って見ればシロヤシオ越えに「地蔵岳」見られる。

15.39分 「剣光門」である。バイケイソウの中でちょっと一服。

あれが目指す「涅槃岳」である。
「涅槃岳 30分」の表示がある。
「涅槃岳(1375.9m)」頂上に着いて、
「18分で登った!」と言っている。みんな早いペースである。みんな快調、快調!


 
16.47分 「証誠無漏岳(1301m)」に着く。
標識の時間よりはみな短い時間で登っているようである。
小屋に着けば「焼酎が飲める」と宮地さんは一段と元気がでて早いペースで歩いている。
 
クマザサの道を通り過ぎて、17.15分 「阿須迦利岳(1251m)」に着く。

「阿須迦利岳」を下れば、今日の宿である「持経の宿」が見えてきた。17.36分到着した。
小屋の横に「持経宿不動堂」が建てられ、お不動さんが祀られている。お詣りする。
トイレの設備もちゃんとある。

小屋に着けば、京都から来たという三人が夕食の真っ最中である。
宮地の奥さんは「何を作っているの?」なんて訊いている。
「今日はイタリア料理だ」なんて説明している。

こちらは小屋の中の光景。
前鬼への林道ゲート(登山口)で我々を下ろした内炭の奥さんは池原の方に車を回し、そこから3時間もかかって、ビールと夕食の材料を運びあげて、夕食の準備をして、我々の到着を待っていてくれる。
我々は雨に遭わずによかったのだが、内炭さんの奥さんは小屋まであがってくるときに「雨に遭った」というのだ。
到着後にすぐに缶ビールのサービス! 「最高にうま〜い!」
まさか山でビールが飲めるとは思ってもいなかったので、みな最高に喜んでいる。
缶ビールは必ずグラスに移して飲むというデリケートな奥村さんも、「今日のビールは缶のまま飲んだが最高にうまかった」とべたほめである。

寿司飯、豚汁、コンソメスープなどで夕食である。
材料は家であらかじめ作ってきたという豚汁は美味かった。

「シロヤシオやシャクナゲが綺麗だったね」「同じ時期に来てもこんなに綺麗に見られることはない」などと今日の山歩きの感想が飛び出している。
鈴木さんが持ってこられたネパールの土産にもらったという焼酎を飲みながら・・・・でもこの焼酎、僕もいっぱいもらって飲んだのだが日本の焼酎とはほとほと違って匂いがきつく「香料が入っているようだ」と思うくらい・・・・鈴木さん、ごめんなさい!
焼酎の味の品評なども話題になっているが、焼酎を飲まない内炭さんからは「焼酎より水をもってくるように」なんて冗談のように言われている。
宮地さんの今日のへばりも酒の肴である・・・「毎日家を出歩いていて疲労しているようだ」なんて鈴木さんは言っている。

夕食している我々の隣で京都の三人組は7時に寝てしまった。
彼らは昨日「百丁茶屋小屋」で泊まり、今日は持経の宿まで来たというのだから、「すごく速いなあ」と感心する。
明日は、4時に出発し、玉置山まで行くというのだ。またまたビックリである。

毛布は小屋に用意されていた。
我々はシュラフに潜り込んで、8.15分に就寝・・・お休みなさい!

                ― 第1日目 おわり ―


第2日目(5/30)

京都から来た三人組は朝2.30分に起床し、食事を済ませて、3時半ごろには出立して行った。
四時に起き、坐ったり、外に出てラジオ体操をしたりし、みんなの起きるのを待つ。
朝はパン食である。

6.20分 記念写真を撮り、さぁ、出立!

6.29分 「持経千年桧」に着く。立て札がある。
そばに「持経千年桧不動尊」のお堂が建てられている。
 
今朝は昨日以上に好天で、遠くまですっきり見えている。

6.46分 ナラの大木がある。「大峯巨樹 ナラ 回り 540p」と記載されている。
 
6.51分 遠くに見える「峰の名前が分かればいいのになぁ」なんて思いながら・・・

6.58分 「中又尾根分岐点」

7.10分 「平治の宿」に着く。「平治水場 8分下る」と表示されている。

小屋の中を覗いて見ると、広さは2間X3間ぐらいの広さがある。
綺麗に整頓されている。

小屋の入口には石碑があり、西行法師の短歌が刻まれている。

    西行法師
   平地と申す宿にて月を見けるにこずゑの露の袂にかかりければ

        こずゑ洩る 月もあはれを思ふべし
           光に具して露のこぼるる

宮地の奥さん、メモに写し取っている。

7.20分 「転法輪岳(1281.2m)」に着く。
 
7.46分 記念写真を撮って、出発!
 
7.52分 笠捨山(1246m)とその下の方に
行仙岳(1226.9m)にあるNTTの鉄塔が見えて来た。
ゴールが見えてくると、なんとはなしに元気が湧くような感じがするものだ。

8.16分 鎖場を登る。さほど難しい登りではない。

8.18分 「倶利迦羅岳(1252m)に着く。

8.46分 素晴らしい山並みであるが、残念ながら峰の名前がわからず

9.20分 「怒田の宿跡」に着く。

内炭さんが熱いコーヒーを振る舞ってくださる。
「冷たいより熱いのはうまいねぇ」なんてみんないいながら頂戴している。

「行仙岳 10分」と書かれている。
奥村さんは「20分はかかる。20分と書けば登る気がなくなる」というようなことを言っている。
標識は「信用せん」というような気構えである。
9.51分 「行仙岳」に着く。
たしかに奥村さんが言われたように、10分では登れなかった。
15分以上かかったと思う。

山頂のすぐ下にあるNTTの局舎の横から、第2回目(6/5)から歩く予定の笠捨山の尾根を望む。

行仙岳から、昨日から歩いてきた山並みを眺める。

内炭さんから送って頂いた行仙岳からの展望図を少し編集し直して使わせて頂く。

釈迦ヶ岳の右が太古の辻である。
赤い尾根の線を歩いてきたのである。
赤線が途切れているのは、尾根の裏側を登って来ているからである。
みんなとこの光景を眺めながら、突然宮地さんが、
「釈迦ヶ岳からここまで直線距離でどのくらいあるか?」と突飛な質問をされる。
この質問にはビックリである。
「40キロぐらいかな?」という答えも出たが、なかなか即答は難しい。
鈴木さんが地図を取り出し、13〜14キロという結論となった。
13〜14キロだと大した距離ではないのだが、
僕の感じでは、40キロあるように見える。
僕が宮地さんの質問があまりにも突飛なので、
「なんでそんな質問するの?」と聞けば、「ゴルフ感覚だ」という。
「なるほど、ここから釈迦ヶ岳に谷越えのショットをするのか」などと言って笑い合う。
よく山歩きをしない人からは、「何キロぐらいか?」と聞かれることがしばしばあるのだが、
僕は、山歩きは距離よりも時間を問題にしている。距離を判断の目処にはあまりしない。
山は起伏の具合で所要時間が全然違ってくるのだから・・・・道の状況を問題にしている。
山歩きの宮地さんから直線距離の質問がでたのだからビックリする。
大峯奥駆けは「何キロあるのか?」という話になって、「78キロキロ」「いや、40〜45キロぐらいじゃないか」と答えもまちまちである。
太古の辻に立っていた道標には、
「玉置山へ 29キロ 16時間」「本宮備崎へ 45キロ 24時間」の表示があった。
山上ヶ岳のそばの「洞辻茶屋」まで、吉野から24kmの表示があったことを思い出した。

10.18分 「行仙岳」で記念写真を撮る。

10.22分 4分ほど下れば、笠捨山への分岐点がある。

下る途中から、きれいに山並みが見えるが、峰の名前がはっきり分からないのが残念

白谷トンネルへの下りは鉄製の階段で整備されている。

10.56分 登山口に到着した。

無事到着を祝して、記念写真である。

内炭の奥さんがこの登山口まで車を回して待っておられる。
下北山温泉の「きなりの湯」へ直行する。
温泉に入り、ビールを飲みながらの昼食である。
昼食をしている時、外を見れば雨であった。
なんと天気に恵まれた山歩きだっただろう。
無事に歩けたことに感謝する。

        ―  おわり ―